脳内シェナニガンズ

沼語りと既成年の主張

キーボード沼の話

2021お盆からはまっている趣味があって、メカニカルキーボード沼といいます。
今回はそもそもキーボード沼とは?という話をしようと思う。

 

キーボード沼

カニカルキーボードとは

カニカルキーボードとは直訳すると機械式鍵盤(いや誰がそこまで訳せと言った)となる訳だが、これの指すところはPC用キーボードの中でも各キーが機械式で独立して動作するものである。
ノートPCは一旦脇に置いておいて、デスクトップPCについてくるキーボードの多くはメンブレンと呼ばれる構造をしていて、これは一般的に安価で拡張性が低く一か所が壊れると全体を交換する必要がある。
これに対してメカニカルは比較して高価ではあるが各キーが独立しているためメンテナンス性が高く、不調があっても破損個所のみの交換で済む。
また種々の部品がAliexpressなど各所で販売されているため自分好みのキーボードが作成できるという魅力がある。

 

カニカルキーボードの構造

キーキャップ、キースイッチ、スタビライザー、PCB、プレート、ケースで構成されている。

キーキャップは文字が書いてあり、指で押し込む部分のことを指す。
プラスチックの射出成型で作られていて、キーボードの表面のほとんどを占めるため、ここが一番のこだわり所という人も多い。
キーの幅は種類ごとに異なるが、アルファベットのキーの幅を基準に1uとし、0.25刻みで種類がある。

キースイッチはキーキャップの下に位置し、押し込まれてキースイッチ内のリーフと呼ばれる部分が接触することで入力を検知する。
おそらく沼につかり始めの人が本格的に悩むポイントだ。
というのもこの世には何百種ものキースイッチが存在し、それぞれが押下圧、動作点、ストローク、音などの点で異なる特性を持っている。
もちろん全てを比べる訳にもいかないので、YouTubeでレビュー動画を漁ってお財布事情と相談しながらこれと決めたキースイッチの購入に至る。

スタビライザーは2u以上のキーに適用する部品で、キーの安定を図るために取り付ける。
キーキャップの両脇に位置し、金属のワイヤーで左右がリンクされていて、キースイッチとスタビライザーが同じタイミングで上下するようになっている。
これがないとスペースバーやエンターキーなどは中心以外を押し込むと反対側が浮き上がり、最悪キーキャップがパコッと外れてしまう。

PCBとはprinted curcuit board、要はキーボードがキーボードとして動作するための信号を発生させる部品だ。
キーボードの配列はこれに拘束されていて、キーボードをDIYするために部品を買うとなったらまずはこれを購入することをお勧めする。
キースイッチをPCBに挿してはんだ付けするとぶっちゃけキーボードとしての最低限の動作はするようになる。
また最近はホットスワップと呼ばれる、キースイッチを差し込むだけで動作できるようPCBにキースイッチの足を挿せるスロットがはんだ付けされているPCBが主流になっている。
ホットスワップははんだごてを扱う手間が無く、キースイッチの交換が簡単というメリットがあり、初心者はとりあえずホットスワップを買えば良いと思う。

プレートはキースイッチがぶれないように補助する部品のことで、金属やプラスチック等の薄い板に四角い穴が開いている。
キースイッチをプレートにはんだ付けする場合はがっちりと固定されるため必要ないのだが、ホットスワップの場合ははんだ付けした場合と比べてぐらつきやすいのでプレートが必要になる。

最後に、ケースは文字通りケースでPCBを把持し、キーボードの外殻をなす部品のことだ。
すぐに使用できる形で販売されているキーボードは一般的にプラスチック製のケースを採用しているが、高級なものはアルミを使っていることが多い。
これは必ずしもアルミの方が良いというわけではなく、ずっしりとした重量感がある方がタイピング中に動きにくい他、高級感があって好ましいという側面が強いと考えている。(ここ間違っていたらすみません、あくまでも初心者の意見です。)

 

どうしてこれが沼となりえるのか

構造の項目で少しその片鱗が出ているのだが、自由度がめちゃくちゃ高いことが問題なのだ。
例えばスマホを買うとなったら、モデルを決めて色とストレージ容量を決めたら終わりなので、色が3種類、容量が3種類あっても高々9パターンしかない訳だ。
翻ってキーボードに戻ると、キー配列を決めて買うPCBを絞ったら、その後はキーキャップ、キースイッチ、プレート、ケースをネットの海から探す作業に入る。

キーキャップ→選択肢無限
キースイッチ→選択肢無限
スタビライザー→数種類
プレート→(PCBとの互換性を考えると)数種類
ゲース→(PCBとの互換性を考えると)数種類

掛け算すると無限×無限×数種×数種×数種=無限なのが分かる(出オチ感がすごい)。
要は選択肢が多いので理想のキーボードを作るために血眼になって情報を探し、自分の気持ちと折り合いをつけながら部品を買うのだ。

これが1回で済めばまだ良いのだが、なまじ情報を集めたせいで、理想のキーボード(仮)が組みあがっても、”やっぱりあのキーキャップの方が良かったんじゃないか”、”あのキースイッチの方が良かったんじゃないか”と頭の片隅で悪魔がささやき続ける呪いに苛まれる。
するとどうなるか、そう、追加でキーキャップ等を買ってしまう。
するとどうなるか、そう、余ったキーキャップを取り付けるためのキーボードを新しく組み上げてしまう。
ここから無限ループ。
なんて恐ろしいお財布破壊永久機関なんだ・・・(一般論であって、自分の実体験ではない。)

 

暇さえあれば買いもしないキーボード部品の情報を集めてしまうのはもはや一種の呪いだと思う。
そしてキーボード部品の情報収集をしていると、段々とYouTubeのおすすめ欄に無言でキーボードをカチカチ叩く人の動画が現れるようになる。
なるほどAlpacaは滑らかでぐらつきが少ないのか、Gateron Ink Blackはぐらつきは多少あるが低くて深みのある音なのか、NK Creamsはぶっちゃけ過大評価されすぎでstockでは使えたもんじゃないという意見が多いな、などなどの知識がひたすら増えていき、さて次は何のスイッチを買おうかなと装着するキーボードも無いのに探し始めてしまう。
パソコンで夜な夜なカタカタした音だけの動画を流しているのでついに狂ったかと妻に疑われた、というRedditの投稿を見てこれはあながち嘘ではないだろうなあと自分としても感じる。

 

 

という訳でひとまずキーボード沼の紹介はここまでにして、今回はここらで終わりませう。
次回は実際に自分がどのように沼にはまっていったのか、自分のキーボードライフを紹介しようかなと考えている。
では今後もよしなに。